誰もが孤独で不安だからこそ、安全・安心を確保することが何よりも大切なんだ

来たる6月11日。
朝活コミュニティ「朝渋」に、新著『WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE.』の著者である佐渡島 庸平さんの登壇が決まりました!

コミュニティに関して、第一線で思考と実践を繰り返されてきた佐渡島さんだからこそ、たどり着けた見地。
そのエッセンスが存分に詰まった本書が参考になりすぎたので、ポイントをまとめてみようと思います。

peatix.com

『WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE. 』(佐渡島庸平)

コミュニティとは

趣味や目的など共通の価値観を持った人たちと、ネット上でのコミュニケーションを基本として繋がるクローズドなグループのことです。

「オンラインサロン」やクラウドファンディングにおける「ファンクラブ」という形式で、ネット上でメンバーを募集する「コミュニティ」が主流となっています。

「CAMPFIRE」ファンクラブ画面
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代表例として、「箕輪編集室」「堀江貴文イノベーション大学校(HIU)」「西野亮廣エンタメ研究所」などがあります。

本書の著者である佐渡島さんも「コミュニティを研究するコミュニティ」として、「コルクラボ」を運営されています。

lab.corkagency.com

佐渡島庸平さんとは

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(Twitterより画像引用)

もともと講談社で働かれていて、『ドラゴン桜』三田紀房著)、『バガボンド』井上雄彦著)、『宇宙兄弟』小山宙哉著)など、数々の名作漫画の担当として、編集に携わられてきた方です。
2012年に独立され、クリエイターのエージェント会社である「コルク」を創業されています。
著名な作家さんとエージェント契約を結ばれて、『ドラゴン桜2』や『宇宙兄弟』等の作品編集や著作権管理、コミュニティ形成・運営をされているのだそうです。

詳しくは佐渡島さんのnoteやTwitterをチェックしてください!

twitter.com

note.mu

コミュニティ運営のポイント

#安全・安心の場の設計

コミュニティや佐渡島さんの紹介が終わったところで、いよいよ本題に入っていきます!

本書で佐渡島さんがコミュニティづくりにおいて一番重要なポイントとして挙げているのが、メンバーの「安全・安心」を確保することです。

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「安全・安心の場の設計」なくしては、コミュニティは持続しません。
もちろん、コミュニティの繁栄には「熱狂」が不可欠といえるでしょう。
ですが、本当に重要なのは「熱狂を起こすための順番」を考えることです。

たしかに、勢いだけで「安全・安心が確保されていない」コミュニティにも熱狂が起きることはあります。
しかし結局のところ、安心を伴わない熱狂は一時的なものにすぎず、いずれどこかで必ず破綻してしまうのです。

そうではなく、「安全・安心を確保した結果として、自然に熱狂が起きる」という流れになることを意識するべきでしょう。

「なぜ安全と安心が重要なのか?」と思う方もいるかもしれません。
その理由を考える上では、そもそも「コミュニティとは、どういう性質の場所なのか」ということを考えるのが早いと思います。

コミュニティ紹介の項目でも簡単に紹介しましたが、メンバー一人一人の主体性によって自由に成り立っているのがコミュニティです。

仕事や義務として、仕方なく参加している人はいません。
むしろ皆、お金を払ってまで参加したいという意思があるほどです。
つまり参加するメンバーの人たちは、「やりたいからやっている」という精神状態で、利害関係なく同じ理念や趣味で繋がれる関係性に魅力を感じているのです。

しかし、このようなモチベーションと関係性で成り立っているコミュニティにおいて、メンバーの安心が確保されなければ、どうなるでしょうか。

「自分はここに所属していいのかな…」
「他のメンバーに嫌われてるんじゃないかな…」
「こんなこと企画していいのかな…」

メンバーによる自由なアイデアやプロジェクトによって、新たな可能性が開かれるコミュニティにおいて、こういった不安はそのまま活動の停滞を意味します。

一人一人の主体性を引き出すことが大事なコミュニティだからこそ、メンバーが「何でもやっていいんだ」という安心感を持って参加できることが何よりも重要なのです。

#安全と安心の定義

では、改めて「安全」と「安心」とはどういう意味でしょうか。
本書で紹介されている定義を確認します。

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「安全」は、客観的に身の回りに危険がなく、たとえ危険が起きたとしても準備ができている状態のことです。
「場所やモノに紐づくことが多く、客観的な事実を基にしています。

「安心」は、「人が知識・経験を通じて予測している状況と大きく異なる状況にならないと信じていること」であり、簡単に言うと、イメージが湧くということです。
人の心理状況が紐づいていて、心理状況を表しています。

それぞれの言葉の定義を確認した上で、コミュニティにおける「安全・安心な場」を考えてみましょう。
コミュニティおける「安全・安心な場」とは、「それぞれの人がどんな行動をするのか、予測できるような環境」ということになります。

では、具体的にどのような構造にすることで、コミュニティは「安全・安心な場」となるのでしょうか。
本書で紹介されているポイントを具体的に確認していきます。

#全ての人が対等

まず初めに紹介するのが「コミュニティの中で上下関係をなくすこと」です。

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想像しやすいと思いますが、これはその通りですね。
部活や会社などの組織ではよくあることですが、自分より偉い人がいると、空気を読んで積極的に意見を言いづらくなってしまいます。

古くから所属するメンバーが偉いなんてことはありません。
ネットで影響力があるなんてことも関係ありません。
全ての人との関係性をフラットにするのです。

もちろん、佐渡島さんが運営する「コルクラボ」でも、このことが徹底されています。
「コルクラボ」内では、代表の佐渡島さんは「サディ」のあだ名で呼ばれ、佐渡島さんに対してもタメ口を使用することになっているのだそうです。さすがですね。

そしてまた、新旧のメンバー同士でも問題が起こってきます。
新しく入ったメンバーは馴染めるか不安を感じてしまいます。
元から参加していたメンバーは、雰囲気が変わって自分たちの居場所が無くならないかが不安です。
コミュニティには、常に新しいメンバーが入ってくる可能性があるため、常にメンバーの安全・安心が脅かされているのです。

だからこそ、メンバー一人一人が互いに寄り添い合える仕組みや雰囲気づくりが大事になります。
全員の不安を無くすため、「コミュニティの中に強い人、偉い人がいる」という思い込みを、全てのメンバーが捨てる必要があるのです。

#リアクションを設計する

全員が持つべき心構えを考えた上で、次に考えるべきなのが「新しく入ってきた人」への対応です。

フラットな意識になったとは言っても、やはり新しくコミュニティに参加した時というのが一番不安でしょう。
新しく入ってきたメンバーが溶け込みやすくするためには、「何かすぐに行動できることを設計する」というのが有効な施策です。

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たとえそのコミュニティについて事前に調べてきたとしても、入ったときにまず何をやるのかが具体的に示されてなければ、人はなかなか動くことができません。
多くの人にとって、「なんでもできる」というのは「なんにもできない」のと同じ意味なんです。
新メンバーにとっては、何かお題を出してもらってその通りに行動した方が、自分が何かに協力できた感覚を味わえて、より積極的に関与しようという気持ちになりやすいでしょう。

#役割を与える

そしてさらに、最初のリアクションだけでなく、役割も設計することが重要です。

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もちろん、コミュニティ内にはいろいろな思いを持った人がいて、誰もががっつり関わりたいとは思っていないかもしれません。
しかし、それでも人は役割を与えられた方がずっと動きやすくなり、当事者意識が高まるのです。
それぞれのメンバーの熱量を理解して、適切な役割を与えることが、コミュニティ運営の鍵となるでしょう。

#定例会を開催する

これまで3つほど施策や設計の方法を紹介してきましたが、コミュニティメンバーの不安を取り除き親睦を深める上で一番有効なのは、「メンバー同士がオフラインで定期的に交流すること」でしょう。

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リアルな場で、互いに顔を合わせてイベントを楽しみながらお喋りする。
これ以上に人間が安心を感じることはないはずです。

佐渡島さんは、「学校」というコミュニティからこの着想を得たといいます。
たしかに振り返ってみると、学校というコミュニティの仕組みが、多くの人にとって安全・安心を抱きやすいように設計されていたということに合点がいきます。

#自分の物語を何度も語る

場の設計ができた上で、メンバー一人一人に「自己紹介」をしてもらいましょう。
それも一度だけではありません、何度も何度も何度でもです。
メンバー同士が互いにどんな人間なのかを知ることは、相手に安心を生むことにつながります。

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自分がどんな人間かを紹介することは、自己アピールのためではなく、その場にいるメンバーの安心のために大切なのです。
他の人が自分を理解できるように、自分の物語を繰り返し語る。
それは、安全・安心を生み出すきっかけを作り、コミュニティに貢献する行為なのです。

ここまで、コミュニティを持続させる上で大切なことを紹介してきましたが、
まとめると、「安全・安心を確保するために、リアクション・役割を設計し、定期的にイベントを開催する。そして、その環境の中で、メンバー一人一人が自分の物語を語れるようにする。」ということになります。

シンプルですが、とても難しいですね。

#朝渋で考察

ここからは、これまで紹介してきたポイントを、僕が実際に所属するコミュニティ「朝渋」に当てはめて、コミュニティ運営について考えていきたいと思います。

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リアクション:◯

朝渋には、参加と同時に「リアクション」が求められるルールがあります。
それが「寝る時間・起きる時間の報告」です。

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「早起きを習慣化させること」が大前提のコミュニティということで、メンバーは参加すると、7人くらいで構成される「早起きするためのチーム」に加わります。
そのチーム上では、毎日起きた時間と寝る時間を報告します。
このルールが存在することで、入って何をすればいいかわからないという状況がなくなっています。

また、チームに所属しているため、新しく入った人が誰とも連絡を取れないという状況も生まれにくいのです。
早起きチームには、毎日の睡眠時間の報告や何気ないチャットの他にも、「モーニング会を開催して写真をupする」というお題が出されたりするため、自然と一緒のメンバーと仲が良くなっていきます。

役割提供:◯

メンバーへの役割提示に関しても、朝渋はうまく設計されています。

先ほど紹介した「早起きチーム」において、リーダーを務めるのは、参加して2ヶ月目位の比較的新しい人になります。
長く所属するベテランメンバーには、「バディ」という形で、初参加のメンバーをサポートする役割を担ってもらいます。

また、それらのメンバーとは別に、部活動の部長がたくさんいます。
朝渋では、「早起きして、時間を有効活用する」というコンセプトのもと、各メンバーがほぼ毎朝のように何かしらの部活動を企画して活動しています。

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朝渋には学生からアイドル、経営者まで様々なメンバーがいるため、それぞれの興味関心も多種多様です。
誰かが「〇〇やりませんか?」とグループに投稿すると、すぐに「いいね!やりたい」と返事が返って来て、あっという間に企画になってしまいます。

特に最近では、部活動の数が増えすぎて、朝の時間だけではスケジュールが空いていないという自体が起こるほどです。
「やったことないをなくしていく」という思いのもと、誰もが率先して企画を立ち上げられる雰囲気になってきているなと感じます。

定例会の開催:◯

定例で行なっているイベントとして、朝渋のメインコンテンツと言える「著者と語る読書会」と「キックオフ会」が挙げられます。

「著者と語る読書会」
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活動拠点が渋谷の書店カフェの「Book Lab Tokyo」ということもあり、朝渋では週に一度くらいの頻度で、話題の本を出版された著者の方を招いてトークセッション形式のイベントを開催しています。

過去には、『人生の勝算』前田裕二さんやForbs Japan副編集長の谷本友香さん、作家デビューされた はあちゅうさん など、豪華な著者の方々に登壇いただいており、毎回朝の7時30分スタートにもかかわらず、70名以上の方々に参加いただけるイベントとなっています。

また、本書の中で重要なポイントとして挙げられていた「コミュニティと外部の接触」という点に関しては、この読書会イベントが役割を担っており、著者や参加者との新たな出会いの場として機能しているのです。

「朝渋キックオフ会」
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「キックオフ会」は著者と語る読書会とは対照的に、内部だけの密なイベントとなっています。

・メンバーによるウクレレ演奏
・ライトニングトーク
・部活動の活動報告
・MVPの発表
・早起きチーム決め
・朝渋のこれまでと今後の方針の共有 など

当日のコンテンツは朝渋内だけのある種「共通言語」に特化した内容です。

学生時代の席替えを思い出すような雰囲気の「チーム決め」があったり、頑張っている人が表彰されたり、頑張って練習してきたことを披露したり、メンバー一人一人が「自分ごと化」してコミュニティに居場所を感じられることが魅力的なのでしょう。

オフ会が一番メンバーの熱量が高いのではないかというほど、毎回盛り上がります。

今後の課題

そんな朝渋ですが、もちろん良いところだけではありません。 朝渋をさらに良くしていくために、今後の課題についても考えてみます。
(代表の5時こーじさんも考えているとは思いますが)

各メンバーのことを知る機会をさらに増やす

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メンバーが100人を超える勢いで増えているため、仕方ない部分もありますが、まだまだ「メンバー一人一人の理解が足りていないな」と感じます。

「あの人がどういう人なのか知らなかった」
「あんな特技を持っていたなんて」
後になってからメンバーの興味関心が判明して仲良くなることも少なくないです。

本書で紹介されていた方法に「To Do」ではなく「To Be」で自己紹介するというものがありました。
何ができるかでなく、どうなりたいかで自分を語るということです。
お互いに「〜したい」という気持ちがつながることで、より深い関係性が生まていくでしょう。

あとは、コミュニティにおけるコミュニケーション手段としては、情報がフロー型で流れていくFacebookやFBメッセンジャーよりも、Slackのようなチャンネル型のチャットツールを使用した方が情報整理がしやすいように感じます。
熱量が高いコミュニティほど、スレッドやコメントが乱立し、情報が交錯したカオスな状態に陥りやすいです。

また、FBやメッセンジャーは、コミュニティ外の友人や仕事相手との連絡にも使用します。
「あの情報がどこにあるかわからない」「どこで誰が言ってた内容だっけ」
そんな状態を脱し、情報を適切な場所に配置することを意識するだけでも、メンバーの不安は和らぐでしょう。


最後に

改めて、『WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE. 〜現代の孤独と持続可能な経済圏としてのコミュニティ〜 』はコミュニティ運営をする上で必読の書であると思います。


佐渡島さんの言語化能力と仮説検証能力の高さをヒシヒシと感じました。

言葉にするとシンプルで当たり前のことのように感じますが、実践するのはとても難しい。
これからの時代、本書で言われているオンラインでの活動をベースとした”コミュニティ”という形が、人々の活動の主体となっていくことに疑いはないでしょう。

いかに、所属するメンバーの安全と安心を確保してコミュニティを設計できるか
この命題について、日頃から考え実践している人が、これからを担うリーダーとなっていくことでしょう。

この本で一番印象的だった文章で、この記事を終わりにしたいと思います。
ありがとうございました。

「モチベーションの高い人は、大声を出すこともなければ、体を大きく動かすこともない。下手したら、周りの人は、その人が心の中で興奮していることに気づかないかもしれない。このような「静かな熱狂」がコミュニティに必要な熱狂だ。」